シロップのびんづめ: 〔感想〕QUELL ドラマCD vol.2「past, present, future」
2019-01-14

〔感想〕QUELL ドラマCD vol.2「past, present, future」


SolidSのドラマCD vol.3は「PPF -the past, the present, and the future-」というタイトルだったけどこちらは「past, present, future」。どちらも『PPF(ppf)』ではあるドラマCD。
話としてはあまり共通点がないようにも聞こえるけれど、どちらも未来へ踏み出すという意味では同じかもしれないね。

以下はCD内容を含む感想ですのでご留意ください。
※ほんのりSolidSのPPFにも触れています

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通して聞いてそれぞれの成長が見られるのはもちろん、ほりみやえいちさんがすごくできた人だなと感じさせてくれるCDでした。気配りとサポートの人ですね。ただえいちさんの感情のコロコロ変わる感じ、結構テンパる感じもよく出ていて「あぁ完璧にひょいひょいこなす人ではないんだよな、そうだよなぁ」という、ある種えいちさんの人間らしさが見えた話だなと。意図した構成なのか、もしくはストーリーの癖かもしれないけれど、今回のCDは『普通の人』であるえいちさんが『普通とは言えない境遇の3人』にエールを贈る描写が一番わかりやすいものとして描かれているので、えいちさんの独白のような、心の中からの語りかけみたいな描写が多めです。トラック最後30秒くらいでえいちさんがそっとつぶやいたり語る言葉それぞれにあまりにもパワーがあるんですよね。

SolidSのPPFとの共通点かなと思ったのは「覚悟を決めてこれからに踏み出す話」なんだなということ。向こうでは新たな形の仕事に踏み出す上でのそれぞれの葛藤やちょっとモヤモヤしたもの、それにぶつかるところから踏み出すまでのお話で、ここで言う「過去」は芸能生活としての過去、人に見える(見せていた)部分の過去だったと思います。しきさんの古巣での活動時代とか、せらさんのモデル一本の活動時代が根底にある感じ。
QUELLのppfは彼らのユニット活動歴がまだ日の浅いこととSolidSに比べ世への知名度がまだ低めな様子(ですよね?)もあって、何よりメンバー内で「知らないこと」が多いのもあって「過去」はより個人的な『生まれたところ』や『育ってきた場所』を指している気がします。よって聞く側にも新事実がちょいちょい投下されているという…主にいずみしゅうさんなんですけども。


より内容に踏み込んだ感想を。

まず冒頭のおじさまふたりは誰だったんだろう? 施設の人でOKですかね?
ちっちゃいいっせいくんが体調を崩して蜂蜜をなめていた事実はなんかこう、キュウってきます。個人的に風邪の時に食べるものってその人の育った場所や背景が最高に滲むものだと思っているからかもしれないけれど。

今回のそれぞれが過去を認めて踏み出す話ですが、まず最初にその壁の前に立つのはほりみやえいちさん。「普通」への自覚、それを認めて彼らを支える覚悟を決めるけれど、彼は本当に自分の中で感情を処理したなと思います。それこそ普通の育ちでしっかり穏やかに誠実な人に育ったゆえの技だとは思うけれど、えいちさんに限っては感情がほぼ自己処理。自分で壁を見つけてよっと乗り越えて見せた感じ。一番ソフトで精神的な「普通の壁」だったのがあるのかもしれない。
次に壁の前に立つのはしゅうさん。このCDのジャケットからも察しはつくけれどこのCDで一番凄まじい壁の前に立っているのはしゅうさん。ただまだこの壁は何かはわからない。
そして時を同じくして双子ちゃんに壁が見える。この壁が一番「冷やかす誰かの視線」がある、事務所の人も言っているけれど「悪趣味な人」の存在があるものでしんどいかもしれない。双子ちゃんの育ちや学歴について言う輩の存在はツキパラのしゅうさんの発言からも見えるんですよね*1

ただ双子ちゃんはこちらが思う以上に成長していました。モヤモヤに飲みこまれずにちゃんとかき分ける力があって、しかもその覚悟を決めるまでが早い。ふたりとも強くなって、共にいたい場所と守りたい互いがいるからなのか、この意思を固めて前を向こうとする力はSQの中でも最もスピードがあるかもしれない。まぶしい。
それにしてもやっぱりアイドルの学力テスト番組とか出るんですね、まだ芸能界出たてのおくいつばさくんが学力未知数でなんならあまり勉強は〜とか周囲に思われてたのに圧倒的な頭脳を見せつけちゃう、とかいう時空ありますか? あるなコレ


しゅうさんの壁も正体が明らかになります。正確には正体がわかって壁になったのだけど。お、お父様…! QUELL vol.2で存在が判明した叔母からの電話で謎は急激に展開。

やっぱりほりみやえいちさんはすごいや、と思うのがこの叔母との電話で茫然としてしまったことを取り繕おうとするしゅうさんへの「…しゅう。ごめんね、とても大丈夫そうには見えない。……前にもあったよね、こういうこと」の言葉。
最初の頃のえいちさんはしゅうさんを雲の上に近い存在、もちろん友情も信頼もあるけれどそこにはスターと一般人、みたいな立場の差を感じていたので言動にも遠慮や『あのいずみしゅうに…! おそれおおい…!」みたいな部分があったように思えて。その関係がユニットのメンバーとして対等に、家族として対等に、そしてちゃんと仲を深めたことで対等の実感を得たことで変化して、ある意味で「しゅうさんの言葉と判断を信じない(疑って真実ではないと見抜く)」ことができるようになったんだ……
えいちさんのしゅうさんへの語りかけ方が本当に優しい。トーンとしては本当の気持ちを隠しごとにした子どもと向き合う親みたいだなぁと思いました。彼らは身長も大きな同い年の大人同士ですが、立ち尽くすその前に屈んで顔を覗き込んであげているような寄り添いの形が見えるやりとりを感じました。

しゅうさんって、立派に大人で、リーダーで、アイドルをしてきた人です。
でも、こうやって人に弱いところを見せない見せられない、もしくは見せる必要も感じてこなかった人間ゆえに、素直に甘えることが性格や心情ではなく、手段としてまだままならないという意味では年相応以下のこどもに近い状態なんじゃないかなと思いました。
そりっずも素直になれない大人が多いのですが、さらけ出したり甘えたり寄りかかる手段を知らないんじゃなくて、心理的にできなかったり、自分のその感情を甘えと思って認められなかったりなんじゃないかなと思うのです。くゔぇるは手段やその感情の存在がわからないというか、寄りかかれる場所なんて今までなかったので寄りかかり方がわからないことが多いように思います。それはしゅうさんとえいちさんが時に「子ども」として守ってきた双子ちゃんに顕著だけれど、実はしゅうさんもかもしれない。ただ飄々と強くここまで来れてたんですよね。
このシーンのえいちさんの振る舞いはそうやって深読みしちゃうマンとしては非常に救いでした。最後の「ありがとう」も「わかった」じゃなくて「ありがとう」なんだよね。対等な関係の象徴だね。

「叔母さん、また体調が悪くなったとか?」
「え、…あぁ、いや、そうじゃない」
の「え、…あぁ、」にすごいしゅうさんの動揺が現れていて、たけうちさんすさまじい表現だなと思いました…


このCDに関してはえいちさんにフォーカスしてしまう自覚があるのだけど、トラック後半でもやっぱりえいちさん。
必死に共有ルームの空気を取り繕おうとするえいちさんのバーっと喋っていくところが、なんか妙に生々しくて聞いててチリチリとつらい。ただほりみやえいちさん、この直後に真っ直ぐに打開を始めます。本当につよい、また一人で切り開き始めた…
自分の生い立ちと自分の知る三人の環境を音として言葉にして確認する。自分の感情を言葉にする。その上で腕を広げるのは、自己を否定して他人を受け入れるのの何倍も難しいけれど、やってのけちゃうんだほりみやえいちさんは。
そのえいちさんを一瞬で照れの感情(だよね?)まで持っていくいずみしゅうさんもすごいんだけどもね。ただ素直なのだけどもあまりにもストレートなんだよなぁ〜どう思いますかたかむらさん?

「生物学上の父」
「お父さん」
「父ちゃん」
このお父さんの呼び方になんだか涙出そうになりませんか なるよね

いっせいくん「しゅう、ハーフだったんだ」
……本当にね!!!!


ところで2016年のツイートがこれなので時系列が少し気にならなくもなかったです。この時はしゅうさんが見つからなかったのかしら。

ちるちゃんの「パーパ! パパだぞ!?」がすごいいいですね。なにがいいのかわからないけれど。ここからしゅうさんの情報がすごい勢いで追加されるのだけど、さらっと言われた「父親は母親と別れてから子供(しゅうさん)の存在を知った」にびっくりした。お母さん、向こうの未来を考えて言えなかったタイプだったかなって今のお子さんを見て思ってしまった。そしてこの後のしゅうさんの「父は血縁に間違いはないが自分に影響を与えた人ではない」「今の自分は自分が歩いてきて作った」と割り切っているのがいいなぁと思いました。QUELLは特殊な家庭環境で生きてきた人間が3/4をしめる状態ではあるけれどそれだからこそか、すごく「家族」を肯定的に、そして広義に捉えているんですよね。

家族は血縁でなくてもいい。
家族だからって遠慮しなくていい。
その「遠慮しなくていい」は「思いを口にするかしないかはあなたの意思で構わない」の意味で、助けて欲しいことは遠慮なく言っていい。
血縁だからって理由だけで家族だから〜ってしないでもいい。

ある意味この時代的な家族な気もします。奇跡的に出会ってアイドルとしてユニットを組んだ人々だから特殊は特殊だけど、この考え方って実はいろんな人の背を押せるかもしれないね。

壁を越える順番は双子ちゃんに。
しゅうさんとえいちさんの怒りを押さえ込むようにしながら話を聞く姿は双子ちゃんへの愛を強く感じます。でも、双子ちゃんにはちゃんと自分を守ってくれる優しい大人の存在も見えていました。これが救いだ、いい事務所だツキノプロダクション。
二人の意見は尊重しながらも、ただ感情で突っ走らないように理由をしっかり聞く、そしてその決断を最大限サポートする、プロデューサーとして最高のいずみしゅうさんが垣間見えてよかったです。

勉強のことになるとしょもってした声を出すいちるくんがすごくかわいい。

うん(・-・)

かわいい〜! がんばれ〜!


それにしてもしゅうさんのお父さんの「心から信頼できる同行者」って恋人や配偶者を指してなかったか心配になってしまった(?)
いや、あながち間違ってないんですよね。連れていかれるえいちさんはしゅうさんがプロポーズして仕事も住まいも共にして、年頃の子どもを育てている状態ですからもうなんていうか今更の紹介というか、いや、連れて行くの正解か。正解ですね。
もちろん突然のお義父さん挨拶イベントでえいちさんはパニック! そりゃあそうだ
えいちさんがダメだったらしきさんの予定だったんだ……そうか確かにこういう時はしっかり喋ってくれる人な気がする


もうたくさんの感情と情報を手に入れたし、あとは…と思ったらしゅうさんが大学に通っていた事実が入ってきてびっくり。そしていっせいくんは大学に興味を示している様子、これはフラグですかね? そしていちるくんは(主にえーちさんの)大学生活へ偏ったイメージをお持ちの様子。めちゃめちゃわかるけどね。絶対モテるよね。わかる〜。それにしてもこれでいっせいくんだけが大学進学したらいちるくんはすごくいっせいくんの身辺を警戒しそうですね。門のところまで迎えに来るやつ、やるよね?

そして、決戦の日──。

というところで物語は光の中に幕を閉じていきました。


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それぞれが自分の境遇を見直して受け入れて、踏み出すことを誓って踏み出す様子が描かれていました。今回のCDが発売前の公式ツイートはこんな感じ。


えいちさんの強さはもちろん、双子ちゃんの強くなったところも見れたね
しゅうさんは新情報づくめでした。
今回のCDは喜怒哀楽の振り幅がわかりやすく、コミカルな描写が得意なふじわらさんの脚本とあって、えいちさんのコロコロと表情の変わる様が見れたなぁ〜という印象です。優しいえいちさんやテンパるえいちさんがたくさんいた。


ふと思ったんですけど、しゅうさんは紅茶好き、イギリスの血、なるほど。

これからも健やかに過ごしてほしい。
ほりみやえいちくんは、いい女房役です。